令和6年12月7日(土)「四国本部第98回CPDセミナー・公開講座・防災セミナー」および「愛媛県技術士会忘年会」をえひめ共済会館にて開催いたしました。
セミナー45名・忘年会30名のご参加を得て大いに賑わいました。
皆様、お忙しい中お越しいただきありがとうございました。
(1)開会挨拶
日本技術士会四国本部 須賀副本部長の開会挨拶
(2)講演会の様子
1.CPDセミナー
「最近の地震活動から学ぶ教訓と次の大地震への備え」
講師:愛媛大学 大学院理工学研究科 社会インフラメンテナンス工学講座 特定教授 森 伸一郎氏
CPDセミナーは、愛媛大学理工学研究科 社会インフラメンテナンス工学講座 森 伸一郎氏より、最近の地震活動から学ぶ教訓と次の大地震への備えについてご講演を頂きました。
近年の地震の中で、複数の断層セグメントが連動して動き、想定していない被害が発生している事例についてお話がありました。
2024年能登半島地震では3つの活断層セグメントが動いたことで、建物被害がより増大しているとの説明があり、被害状況とメカニズムについて現地調査写真を交えて詳しくご説明を頂きました。
また2023年に発生したトルコ・シリア地震についても、先生は5回現地調査に向かわれたとのことで詳しくご説明を頂きました。
この地震は2つの地震により400kmに渡り活断層の連動が発生したもので、23万棟もの被害が発生したとのことです。また、各断層セグメント毎の地震想定はあったが連動までは想定されていなかったとのお話でした。
これらの教訓から、愛媛においても「中央構造線断層帯の連動地震」が連動地震として考えられ、もし発生した場合は南海トラフ地震による地震被害想定をも超える可能性があり、そのリスクを考えておく必要があるのではないかとのお話でした。
加えて地震災害としては、現在津波被害に注目が集まっているが、連動地震による複数回の強震による倒壊被害も甚大であり、インフラのメンテナンスにも目を向けておく必要があるとのお話でした。
2.公開講座
「愛媛の近代化遺産を歩く」
講師:今治明徳短期大学 ライフデザイン学科 講師 大成 経凡氏
公開講座は、今治明徳短期大学 ライフデザイン学科 大成 経凡氏より愛媛の近代化遺産についてご講演を頂きました。
近代化遺産はペリー来航の開国に始まる社会文化遺産とのことですが、本公開講座では海外からの文化建築における様々な変化をご紹介して頂きました。
愛媛県では、H13より大成先生もご参加されてPRや街づくりに活用する目的で近代化遺産の調査が行われたそうです。
その中の県内に残る代表的な近代化遺産についてのご紹介がありました。
先ず西予市にあるアーチ型窓やガラスを使用した擬洋風建築である「開明学校校舎」の説明がありました。
次に、明治6年に愛媛県で一番最初の洋風建築である「釣島灯台」について詳しいご説明がありました。
ブラントンにより設計された釣島灯台の当時輸入されたドーム型灯籠の構造や、石造り官舎の間取りについて写真を交えて詳しい説明がありました。
官舎の建築に使用された石は2種類あり、青みがかった石は山口県徳山石、赤みがかった石は広島県倉橋島だとのことです。
その他「旧石﨑船渠合資会社の石垣ドライドック」、今治市小島に築かれた「陸軍芸予要塞」についての詳しい説明を頂きました。
3.防災セミナー
「過去の大規模災害に学ぶ-愛媛の地震・津波・水害・土砂災害史-」
講師:愛媛大学地域協働推進機構 特定准教授 大本 敬久氏
防災セミナーは、愛媛大学地域協働推進機構 大本 敬久氏より過去の愛媛の過去の地震・津波・水害・土砂災害等の大規模災害よりの学びについてご講演を頂きました。
南海トラフ地震は過去100~150年毎に発生しており、各時代の描写記録・文献等から読み取れる被災場所・被害状況等を、具体的な資料を交えて詳しくご説明して頂きました。
宝永南海地震や昭和南海地震では当時記録より道後温泉の湯が出なくなったなど、今後の南海地震においても同じような被害が出るのではないかとのお話でした。
次に愛媛の水害についてもお話があり、昭和18年に発生した豪雨は平成30年豪雨の1.5倍の降水量であり、当時の水害について国土地理院の資料(治水地形分類図や空中写真)との対比を交えご説明頂きました。
これは高々80年くらい前の話であり、決して稀有なことではないとのことです。
また、過去の大規模災害の復興においては各地に復興記念碑や被災者の招魂碑が残っており、国土地理院の自然災害伝承碑として登録が進められているとのことです。
しかし、碑文の消えかかったものもあり、単に自然災害伝承碑を登録するだけではなく歴史から学ぶためにも啓蒙活動が必要とのお話がありました。
講演会の後は、恒例の忘年会が開催されました。
愛媛県技術士会 岩佐会長のあいさつに始まり、四国本部 松村事業委員の乾杯の音頭により忘年会が始まりました。
忘年会の様子。
最後は、吉村幹事の一丁締めにより、忘年会も無事終了することができました。
来年も皆様のご協力のほどよろしくお願いいたします。