令和4年9月17日(土)、日本技術士会四国本部主催の「第42回地域産学官と技術士との合同セミナー」が、にぎたつ会館において開催されました。
愛媛県技術士会からも多数ご参加いただき、計62名余りのご参加を得ました。
7月から始まった新型コロナの第7波も依然高い水準で推移している中、多数のご参加をいただきありがとうございました。
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【開 会】(12:30~13:00)
開会挨拶 公益社団法人日本技術士会四国本部 本部長 古野 隆久
主催者挨拶 公益社団法人日本技術士会 会長 寺井 和弘
来賓挨拶 愛媛県知事 中村 時弘 様
【基調講演】(13:00~14:20)
演 題:「愛媛大学工学部エンジニアリングモール構想と地域貢献~DX推進のための産学官の取り組みを中心として~」
講 師:愛媛大学工学部付属社会基盤iセンシングセンター センター長(教授) 中畑 和之 氏
【講演1(産)】(14:20~15:20)
演 題:「造船工場の見える化の取り組み」
講 師:株式会社 新来島どっく 大西工場 生産推進室 生産推進課長 四塚 卓之 氏
【講演2(学)】(15:30~16:30)
演 題:「AI・ICT技術による道路・交通マネジメントの高度化」
講 師:愛媛大学大学院理工学研究科 講師 坪田 隆宏 氏
【講演3(官)】(16:30~17:30)
演 題:「デジタル化の推進による活力ある地域社会の実現」
講 師:総務省四国総合通信局 情報通信部 情報通信振興課長 西岡 優 氏
【交流会】18:00 ~ 20:00
———– 開催行事の概要 ———–
【開会あいさつ】
(公社)日本技術士会四国本部 古野本部長(写真左上)
(公社)日本技術士会 寺井会長(写真右上)
愛媛県土木部長 葛原健二 様
より開会の挨拶を頂きました。
【基調講演】
「愛媛大学工学部エンジニアリングモール構想と地域貢献~DX推進のための産学官の取り組みを中心として~」
(講師)愛媛大学工学部付属社会基盤iセンシングセンター センター長(教授) 中畑 和之 氏
中畑教授からは「愛媛大学工学部エンジニアリングモール」構想の推進について講演がありました。
同モールは、学内に設置した「船舶海洋工学センター」「高機能材料センター」「環境・エネルギー工学センター」「社会基盤iセンシングセンター」といった各工学部付属センターをつなぐ枠組みであり、これにより産官学の「地域連携プラットフォーム」として工学研究で得られた知見や技術を社会課題の解決のために利用し、地域社会や地域産業を活性化させ、さらに地域の持続可能性強化を図ることを目的とするものです。
その中で中畑教授がセンター長を務める「社会基盤iセンシングセンター」では、国の目指すSociety5.0や産業のIndustry4.0を見据えながら、AIやIotといった新技術を活用したセンシング技術開発・データ解析、愛媛地域の新しいインフラ(情報・社会基盤・ユニバーサルサービス)の構築、安心安全な地域社会の実現を研究・教育の双方からサポートをすることを目指しているとのご説明がありました。
【講演1(産)】
「造船工場の見える化の取り組み」
(講師)株式会社 新来島どっく 大西工場 生産推進室 生産推進課長 四塚 卓之 氏
四塚氏からは「造船工場の見える化」への取り組みついて、企業内での情報通信技術(ICT)の活用事例の紹介を頂きました。NC切断工程の稼働率向上を目的として「NC切断機からの数値データ」「動画解析による作業者の配置状況」「光色による溶接作業の位置情報」等を重ね合わせて「見える化」を行い、NC切断のターンアラウンドタイムの短縮を図る取り組みについてご講義いただきました。
また「カメラデバイスを活用した見える化」により溶接品質を安定化させ、生産性の向上(作業者不足問題・溶接技術の継承)にも現在取り組んでいるとのことです。
【講演2(学)】
「AI・ICT技術による道路・交通マネジメントの高度化」
(講師)愛媛大学大学院理工学研究科 講師 坪田 隆宏 氏
坪田講師からは、道路・交通マネジメントにおける生産性向上についてご講演を頂きました。道路・交通マネジメントは道路交通の情報を収集し高付加価値な情報として交通流へフィードバックするモデルであり、リアルタイム情報に関しては高速大容量の情報基盤は欠かせないものとなります。
また、単に交通流の渋滞解消にのみならず、現在の交通状況のセンシングデータからAIにより交通事故リスクを予測し、動的な経路探索を実現するなど「安全性・円滑性の向上」に関する研究についてもご紹介頂きました。
【講演3(官)】
「デジタル化の推進による活力ある地域社会の実現」
(講師)総務省四国総合通信局 情報通信部 情報通信振興課長 西岡 優 氏
西岡氏からは、デジタル田園都市国家構想に向けた四国地区の情報通信に関する重点施策についてご講義を頂きました。プラットフォームとなるデジタル基盤整備(光伝送路整備)と、これをベースとした5G等高度無線システムは、これからの本格的なIot時代におけるDX推進の基盤となるものです。
また5Gは通信事業者だけでなく、「ローカル5G」として地域の企業や自治体といった様々な主体がスポット的に5Gネットワークを活用できるように制度化が行われており、現在各所で業務の効率化や生産性の向上等の実証プロジェクトが進行しているとのことです。
その後、会場を移し交流会へと移りました。
(公社)日本技術士会理事・四国本部副本部長 須賀 幸一 氏の乾杯の音頭により交流会が始まりました。
また、講師の中田氏・四塚氏・坪田氏・西岡氏も講演後引き続き交流会にご出席して頂きお話をお伺いすることができました。
最後は(公社)日本技術士会四国本部事業委員・愛媛県技術士会会長 増田 氏の中締めにより、交流会も無事終了しました。
近年の情報通信技術の進化は目覚ましいものがあります。
本セミナー直前の9月初頭には、近年のテレワーク、オンライン会議・授業等の利用拡大に伴い「無線LANにおける6GHz帯の利用(WiFi6-E規格)」について総務省令が出されました。
講演内容にもある「第5世代移動通信システム」は高速、低遅延、多数同時接続が実現され、今後のDX実現の基盤としての期待が高まる通信規格となっています。
技術士の技術分野は多岐に渡りますが、この高速大容量の情報通信技術を活用して産業やビジネスでの実用化・効率化・新領域の創出を図るだけでなく、地域の抱える課題解決への活用方法にも目を向ける必要があると感じます。